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2024.04.01
検定とは、一定の基準に照らして検査し、合格・不合格などを決定することを指しますが、英検、漢検、ワイン検定、日商簿記検定、色彩検定、フィッシャーの正確確率検定(統計学)、などなどが知られています。
労働安全衛生法の第四十四条の二でいうところの型式検定は、機械等の型式ごとに行われる検定をさし、それらの機械等に対して定められた規格に適合していることを確認し、適合を証明する書面 (型式検定合格証) を発行する手続きのことを言います。型式検定合格証には有効期間が記載されますが、その期間内であれば、その型式の機械等を製造、輸入することができることになっています。
防爆電気機器(防爆構造電気機械器具)についても型式ごとに検定が行われます。
可燃性ガス、引火性の物の蒸気、可燃性の粉じん等が存在する場所であっても直ちに爆発が起きるというわけではありません。ガスの濃度が低すぎても、高すぎても爆発は起こりません。なぜならば、爆発は、ガスの分子と酸素分子が結合することによって開放されるエネルギーが光や熱になり気体の膨張がおこり、それが機械的な破壊をもたらす現象だからです。ガスが少なすぎても起こりませんし、ガスが多すぎ(=酸素が少なすぎる)ても破壊的な現象は起こりません。
さらに、可燃性物質と酸素がそろっていても、点火源が無ければ爆発は起きません。
可燃性物質と酸素の両方がそろっている場所、もしくは、そろってしまう恐れがある場所を危険場所と呼びます。危険場所で使用する電気機器は爆発の点火源になりえます。通常の電気機器は、火花や高温部を発生させる能力があるからです。
危険場所で使用する電気機器が、点火源となる可能性を低減させる仕組み・構造を備え、それが試験などにより確認されたならば、「爆発を防ぐ」防爆の対応が取られたものと考えられます。
危険場所で使用する電気機器は全て、日本国内で有効な防爆の型式検定合格証が発行されたものであることが、労働安全衛生法で要求されています。つまり、技術的に、「防爆」であることに加え、適切な手続きを経たものでなければならないということです。
※船舶安全法 の適用を受ける船舶に用いられるものは労働安全衛生法に基づく型式検定は該当しません.
防爆電気機器の型式検定合格証を発行できるのは、労働安全衛生法に従って厚生労働省に登録型式機関として登録された会社です。
詳しくは、以下をご参照ください。
IECEx認証品というだけでは日本では使用できません。
IECExスキームは、国際的であり、国際連合欧州経済委員会(※国際連合の経済社会理事会の地域経済委員会の一つ)により世界最高水準の実践およびこの分野における国家規制を支援するための推奨ツールとして正式に承認されていますが、IECEx認証証は、労働安全衛生法に基づいて発行された型式検定合格証ではありません。つまり、日本の労働安全衛生法上で法的に位置づけられたものではありません。
日本においては、労働安全衛生法が定められており、日本の厚生労働大臣より登録を受けた機関による検定を受けることが必要とされています。
労働安全衛生法に従って登録型式検定機関がその責任により適切に審査を行い、基準に適合することを確認することが要求されています。
このような事情から、IECEx認証証の単純な書類の書き換えにはなりません。
【労働安全衛生法より抜粋】
(型式検定)第四十四条の二
1 第四十二条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。
2 前項に定めるもののほか、次に掲げる場合には、外国において同項本文の機械等を製造した者(以下この項及び第四十四条の四において「外国製造者」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該機械等の型式について、自ら登録型式検定機関が行う検定を受けることができる。
一 当該機械等を本邦に輸出しようとするとき。
二 当該機械等を輸入した者が外国製造者以外の者(以下この号において単に「他の者」という。)である場合において、当該外国製造者が当該他の者について前項の検定が行われることを希望しないとき。
3 登録型式検定機関は、前二項の検定(以下「型式検定」という。)を受けようとする者から申請があつた場合には、当該申請に係る型式の機械等の構造並びに当該機械等を製造し、及び検査する設備等が厚生労働省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ、当該型式を型式検定に合格させてはならない。
4 登録型式検定機関は、型式検定に合格した型式について、型式検定合格証を申請者に交付する。
5 型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。型式検定に合格した型式の機械等を本邦に輸入した者(当該型式検定を受けた者以外の者に限る。)についても、同様とする。
6 型式検定に合格した型式の機械等以外の機械等には、前項の表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
7 第一項本文の機械等で、第五項の表示が付されていないものは、使用してはならない。
労働安全衛生法 第四十四条の二 により、次の3つの区分のうちいずれかに該当する方が申請者となることができます。
ちなみに、申請者と製造者の名称と住所は以下の両方に記載が要求されています。
日本国内の製造者が製造する機器については、製造者のみが申請者となることができます。ただし、以下の全てを満たす必要があります。
[1] 検定申請対象品に関する製造検査設備を持っていること
[2] 検査体制(検査規定、検査設備、検査実施組織(部署等)、等)が整備されていること
[3] 防爆機器の工作責任者がいること(学歴と一定期間の実務経験等の要件があります)
[4] 検定申請対象品の適合性を事前に確認すること。「あらかじめ行った試験の結果を記載した書面」の提出が必須。
※詳しくは、検定の申請について をご覧ください。
※このウェブページの「検定申請者に資格要件はありますか?」も併せてごらんください。
輸入者とは、外国で製造された製品を輸入するもののことですが、輸入者は、検定申請を⾏うことができます。
後述の外国製造者が既に登録型式検定機関に直接検定申請を⾏い合格している製品に関しては、改めて輸入者は検定申請を⾏う必要はございません。
輸入者が申請者となる場合には、上記の[1], [2], [3]を満たす必要はありません。
ある輸入者が検定申請を⾏い合格している製品について、他の輸入者が輸入することは認められていません。同じ製品であっても、輸入者ごとに検定申請を⾏う必要があります。
外国製造者とは、日本国外で機械等を製造したものをさし、外国製造者が自ら検定申請を自ら受けることができます。
製造者に対しては、設備の保有が義務付けられています。
機械等検定規則 により、検定申請品の「製造者」には、特定の設備の保有が義務付けられています。これは、実際に試験に使用するか否かとは関係なく、適用されるものです。輸入者が申請者となっている場合は、輸入者にはこの要求は適用されません。製造者には適用されますので、必要な資料を提出して頂くことには変わり有りません。
具体的な設備については製造検査設備等の概要書(詳細版)の作成ガイドをご参考ください。※これは、機械等検定規則 で定められていることです。
型式検定に合格した対象の機器を製造、または、輸入することができる期間です。
従って、譲渡、貸与、設置する時期とは直接の関係はありません。
例えば、検定合格証の有効期間内に製造された製品を長期間保管したとします。そして、それらを有効期間が切れた時期に譲渡、貸与、設置することは可能です。
※合格証の有効期間に製造されたことは、取り付けられた合格標章、および、製造記録等により証明できるはずです。
【関連法令】
まず、更新検定は、既に型式検定合格証が発行されているものについて、型式検定合格証の有効期間の満了前に有効期間の更新を行う検定です。これに対し、新規型式検定は、新たに防爆電気機器に対して行われる検定です。型式検定合格証の有効期間は型式検定合格証の発行日から3年間です。
更新、記載事項変更、再交付は、その合格証を発行した検定機関にのみ申請可能です。
ATEX、IECEx、北米、その他の地域の防爆認証、において、製造者が認証機関に図面、試験サンプルを提出して、検定機関に、設計の適合性確認、および、必要な試験を実施してもらい、規格に適合性することが確認された証(あかし)として認証機関が認証証を発行する、というものです(←第三者認証)。
一方、日本国内の検定制度においては、検定機関へ申請する前の段階で、製造者が、設計の適合性確認、および、必要な試験を実施することになっています(←第一者認証)。この確認結果の書面を「あらかじめ行った試験の結果」という文書として作成し、検定機関への申請書類として提出することが機械等検定規則 により要求されています。
検定機関による書面審査では、「あらかじめ行われた試験の結果」を確認することも含まれます。これらの書面審査のほかに、検定機関が主体となり試験(検証試験)を実施します。そして、規格に適合性することが確認された証として、型式検定合格証を発行します。
「あらかじめ行った試験」が必要であるという点が日本独特の点です。防爆製品の開発過程の一環として試験・評価は行われると思われますが、申請の際にそれらが明示的に要求されているというのは、筆者の知る範囲でですが、他の国・地域の認証を見ても例がありません。勉強不足かもしれませんので、もしあればご一報いただけますと幸いです。support@ncs-ex.com
この他、ATEXやIECExの検定(認証)では、防爆機器の製造に関する品質システムの工場監査を受けることが要求されており、認証を維持する為には工場監査を継続的に受ける必要がありますが、一方、日本の法令では、こうした工場監査の要求事項はありません。(工場監査については下の方の記事も参考にして下さい。)
日本国内の検定の基準には、大きく分けて2種類あると聞きました。どちらを適用したらよいでしょうか?
どちらの基準を適用すればよいかは、製造者の方針、購入者やユーザーの要求、等様々な事情によって選択して頂くものです。
両方の基準は、爆発を防ぐという科学に基づいていることから、本質的な内容に大差はありませんが、構造要件、試験条件、判定基準等の詳細は異なります。
以下については言えると思います。
検定では以下の作業が行われます。
※構造検査 = 現品のサンプルと設計図面の整合性の確認作業:寸法測定、外観検査等
検定の方法についてもご覧ください。
検定では、検定の方法について に記載された内容の活動を行います。上記の
[3] 検定申請品のサンプルの構造検査、試験試験
の作業を、申請者が指定する場所において、申請者に行っていただくのを、NCSの担当者が現地に出張して確認する方式を立会方式での検定試験と呼びます大型の製品や特殊な装置を使う場合、試験対象の操作がNCSでは困難な場合、等を含め、申請者が希望する場合、この方式によって実施することができます。
申請品がどのようなものかであるか(防爆構造の種類、製品の種類、図面の数、etc)
審査に必要な情報が提出されているか(正確さ、必要十分性、分かりやすさ、etc)
実施する試験項目
試験にかかる時間
作業担当者のスケジュール
などの要素に大きく依存しますので一概にはお答えできません。
早期に完了するためには、審査実施に必要な十分な情報が正しく提供されることが必須です。また、情報は整理され、わかりやすい形で提供されているほどスムーズに進みます。申請者と検定機関の連携プレーが非常に大切です。有効に共同作業ができれば早期完了が実現できます。
日本の防爆検定制度では工場監査は要求されていません。
それに該当することとして、製造検査設備等の概要書を申請時の提出文書として提出していただき、通常は書類により審査致しております。
製造検査設備等の概要書についての部分をご参照ください。
現在の日本国内法令としては工場監査は要求されていませんが、型式検定合格証と整合する製品が製造されることが重要です。そのためには、適切な品質マネジメントシステムの構築、運用、維持が必要でしょう。
これをチェックする手段として工場監査の利用ができます。EUへの輸出、IECEx認証の取得、等においては、工場監査は必須事項となっています。エヌ・シー・エス株式会社でも、ISO/IEC 80079-34に基づいた防爆関連の工場監査(任意)を実施しておりますので、ご活用ください。support@ncs-ex.comへお問合せください。
必要です。
IEC 60079seriesの規格をご存じの方はよく知っていることだと思いますが、「単純機器」(IEC 60079-11:2011のClause 5.7にて定義)については、第三者認証は要求されないとされています。
しかしながら、日本では単純機器についても防爆検定が要求されているので、気を付けてください。
基発0812(令和3年8月12日) には以下が記載されています。
3 型式検定を行うに際しての留意事項
(5) 単純機器の取扱いについて
国際整合防爆指針 2015 の第6編に規定される単純機器は、IEC 規格で第三者認証が要求されないものも含め、型式検定の対象となること
【履歴】
2024.04.01 単純機器の記事を追加
2024.03.26 外国製造者の記述の修正
2024.03.20 検定の審査に関する記事の加筆修正
2024.02.27 記事追加
2024.02.16 誤字訂正
2024.01.13 項目追加
2023.08.26 文章の整理
2023.06.15 文章の整理
2023.06.04 非電気機器の防爆の記事を検定(入門の次)Q&Aへ移動
2022.11.10 文章の整理
2022.11.07 説明の修正
2022.10.05 説明の補足を追加
2022.09.04 文章表現の整え
2022.08.18リンク更新
2021.11.28