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更新:2025.04.26
目次
【質問】
更新検定によって、同一型式の追加を行いました。これに伴い有効期限が更新された合格証が発行されました。旧版の合格証に含まれている型式の範囲はどうなるのでしょうか?
【回答】
簡潔にいうと:
旧版の合格証に含まれていた全ての型式は、新しく発行された合格証の有効期限まで自動的に延長されます。
詳しく説明すると:
繰り上げ更新で同一型式を追加すると、新しい有効期限の合格証が発行されます
この新しい合格証には、以下の内容が含まれます:
旧版の合格証に記載されていた型式も、新しい合格証の有効期限まで延長されて有効となります
つまり、型式追加のための繰り上げ更新後は、旧型式と新型式の両方が、新しい合格証の有効期限まで一括して管理されることになります。
日本の型式検定制度において、更新検定で、規格や規格の版を変更することは認められていません。新しい版の規格に変更したい場合は、新規申請が必要となります。
IECEx, ATEXの認証においては、certificateのissue upによる対応が認められていますが、この仕組みは日本の検定では採用されていません。
結論:日本国内では非電気機器部については防爆検定の対象とされていない、というのが答えになります。
誤解のないように以下に補足説明します。
電気機器が点火源となりうることは比較的広く認識されていますが、以下のような非電気部分も爆発の点火源となる可能性があります:
このため、危険場所でこれらを使用する場合には、点火源とならないような適切な防爆対策が必要不可欠です。
現在の日本の法令では、非電気機器は検定の対象とされていません。しかし、この法的な状況は爆発のリスクそのものを変えるものではありません。
重要ポイント:
爆発の発生は、法令のような人為的なルールではなく、自然の法則や物理法則によって支配されています。
危険場所で使用する非電気機器の部分についても、事業者自身が以下の対応を行うことが安全確保のために不可欠です:
ちなみに、EU圏内(ATEX指令)では、これらの規格の適用が法的に要求されています。
ISO 80079-36:2016
爆発性雰囲気-第36部:爆発性雰囲気用の非電気機器-基本的方法及び要求事項
Explosive atmospheres -- Part 36: Non-electrical equipment for explosive atmospheres -- Basic method and requirements
という規格がありますが、これは非電気機器の防爆対策を取る上で参考になります。
【質問】
検定合格している防爆機器に組み込まれている電子部品が製造中止になった場合に、合格図面に記載されているのとは異なる代替部品を使用して製造したいのですが、これは可能ですか?
【回答】
検定合格証の範囲に含まれない代替部品を使用して製造することは、認められません。ただし、更新検定の申請により、「同一型式」の追加の扱いとして認められるものであれば、更新検定によって新たに発行される合格証に基づいてその代替部品を使用して製造することができるようになります。
機器の防爆構造の種類や変更内容によりますが、次のようになります。
原則としては、合格した供試品に対する「同一型式」としてみなせる場合は、更新検定で受付可能、それ以外は、新規の申請が必要となります。
<NCSの見解 > 関連:総則clause 29.12
結論:日本語での表示が必要です。
警告表示は、使用者へ向けたメッセージであり、使用者が理解できることが必要です。型式検定では、検定合格品の使用者は限定されてはいません。したがって、日本語表示が不要であると断定することができません。
※何らかの特別な事情で取り付けが困難である場合などは、個別にご相談ください。検討致します。
<NCSの見解 > 関連:総則clause 30
結論:日本語での取扱説明書が必要です。
取扱説明書は、使用者へ向けたメッセージであり、使用者が理解できることが必要です。型式検定では、検定合格品の使用者は限定されてはいませんので、日本語による文書が必要と考えます。
型式検定合格証に記載されている内容には変更はないのですが、製造検査設備等の概要書の内容に変更が発生します。検定機関への手続きが必要ですか?
必要な手続きはありません。
変更の有無に関わらず、型式検定に合格しているものを製造、出荷する製造者は製造検査設備等に記載した内容について管理が必要です。しかし、変更点をいちいち検定機関へ届け出ることは必須ではありません。
更新検定、新規申請、等の申請がなされた際に、製造検査設備等の概要書に記載される内容は審査対象となりますので、その際に確認することになります。
【NCSの場合】
検定基準が構造規格の場合:型式検定合格番号は「Naaaa」(aaaaは0~9)です。
検定基準が国際整合技術指針の場合:型式検定合格番号は「NC1aaaa」(aaaaは0~9)です。
よくある質問として
この認証証の防爆記号には"X"が記載されているのですが、防爆記号には"X"が入るものなのでしょうか?
防爆記号への"X"の記載に関しては、以下のように考えられます:
NCSとしては、防爆記号に"X"を含めないものと解釈しています。特に、Ex2020総則では認証番号の末尾に付ける記号であることが明示的に述べられています。
■ Ex2008の総則 (IEC 60079-0:2004)
(13) 記号 X
安全のための特別な使用条件が必要とされることを示す記号。
■ Ex2015の総則 (IEC 60079-0:2011)
3.53 記号 X(symbol “X”)
特定の使用条件を示すために用いる記号。
注記 記号 X は,認証書の中に当該機器の設置,使用及び保守に必須な情報が記されていることを明示する手段を提供するものである。
■ Ex2020の総則 (IEC 60079-0:2017)
3.84 記号 X(symbol “X”)
防爆機器の特定の使用条件を示すために用いられる認証番号の末尾に付ける記号。
注記 記号 X は,認証書の中に当該機器の設置,使用及び保守に必須な情報が記されていることを明示する手段を提供するものである。
NCSの発行する型式検定合格証の型式検定合格番号の欄には、型式検定合格番号と発行の版が記載されています。
例えば、以下のように
「NC10001:1版」
「NC10002X:3版」
型式検定合格標章に記載すべき「型式検定合格番号」は、
「NC10001」
「NC10002X」
です。
型式検定合格標章については、型式検定合格標章についてで解説されており、「労( 年 月)検」の欄には、型式検定に合格した年月、更新検定に合格した 年月を記載することになっていますが、この年月の書き方について教えてください。
のように、あいまいさのない形であれば構いません。
防爆機器に関する型式検定合格証の有効期間は、型式検定合格証の発行日から3年間です。
例えば、2019年7月1日が発行日である場合、2019年7月1日から2022年6月30日までが有効期間です。
型式検定に合格した対象の機器を製造、または、輸入することができる期間です。
従って、譲渡、貸与、設置する時期とは直接の関係はありません。
例えば、検定合格証の有効期間内に製造された製品を長期間保管したとします。そして、それらを有効期間が切れた時期に譲渡、貸与、設置することは可能です。
※合格証の有効期間に製造されたことは、取り付けられた合格標章、および、製造記録等により証明できるはずです。
【関連法令】
【質問】
海外で防爆認証取得済の防爆構造電気機械器具があります。これはそのまま日本国内で販売、使用できますか?
【回答】
出来ません。
日本国内では、日本の型式検定に合格した型式の防爆電気機器である旨の表示がある製品でなければ使用が認められません。「日本の型式検定に合格」とは、日本の厚生労働省に登録された登録型式検定機関が発行する検定合格証(合格番号)を取得する必要があります。
IECEx認証証は任意の民間団体が発行する認証証であり、日本国内では法的効力はありません。ATEX認証証(正確には、EU type examination certificate)はEU圏内で法的効力を持つ認証証ですが日本国内での法的効力はありません。他の国の認証証も全く同様、日本国内での法的効力はありません。製品に適用する規格は同じであれば、物理的に同じ防爆の性能は持ってはいるでしょうが、法的責任の所在、防爆機器の取り付け工事、メンテナンス、このほか、電気安全、EMC、等を含む防爆を取り巻く防爆以外の対策の違い、各国地域における文化や慣習などの違いを考慮する必要があることから、それぞれの国、地域ごとに認証制度が設けられていると考えられます。
認証とはISO/IEC17000:2004のclause 5.5の定義:
「認証 (certification)とは:製品,プロセス,システム又は要員に関する第三者証明」
にある通り、第三者による証明であることから適合性に関する高い信頼性の確保、安心につながります。そして、その認証が自国/地域のルールに基づいて行われていることにより、より安心してもらうことができるのではないでしょうか。
【関連法令】
【回答】
必要です。
現品確認、構造検査(=図面と現品が整合することを確認)を行います。
EU type examination certificate取得品についても同様です。
例:本安機器(IEC整合規格合格品)と本安関連機器(構造規格合格品)の組合せの場合
【結論】不可
【理由】電気パラメーターの定義が異なる。型式検定合格証に指定された使用条件を満たせない。
※その他、G3, T3など、記号が異なる。
構成 | 検定方法 |
---|---|
(本安機器と本安関連機器の) 組合せ構成 | 機器検定、又は、システム検定 |
単独構成 | 機器検定 |
【機器検定】
【システム検定】
※耐圧容器=耐圧防爆容器
【質問】
既合格品の本安関連機器、例えば本安バリア、を内蔵する製品をNCSへ申請しようと考えていますが、申請の範囲はどのようになりますか?
【回答】
本安バリアを内蔵する耐圧防爆容器の場合、検定の申請範囲は耐圧防爆と本質安全防爆の組合せである必要があります。その理由は以下です。
既合格品の本安バリアの多くは、非危険場所に設置される条件で合格していると思います。このような本安バリアは、検定申請なしに耐圧防爆容器内に取り付けた状態で使用することはできません。合格条件に従わない使用法は認められません。つまり、”設置”の範疇と捉えることはできません。
本安(Ex2015) 第6編 本質安全防爆構造 “i の1 適用範囲、において
「本安関連機器が爆発性雰囲気内に設置する場合,その機器は,第 1 編に列挙する適切な防爆構造によって保護しなければならない。さらに,第 1 編(総則)の関連部分とともに,その保護手法の要求事項も本安関連機器に適用する。」
とあります。
耐圧防爆構造の容器に内蔵される一般機器については、該当しませんが、本安バリアに対しては、本安の防爆性能を保証する為の構造要件が存在します。
内蔵される本安バリアに関係する事項としては、内蔵された状態における
本安(Ex2015)のclause 6(機器の構造)
周囲温度関係
Marking
の要求事項が適用されます。
非危険場所設置の条件で合格している本安バリアであっても、耐圧防爆容器に取り付けられることから、申請対象機器の一部となり、上記の要求事項の評価が必要なことから、NCSへの申請において評価する必要があるということになります。
※内圧防爆構造の容器に本安バリアを取り付ける場合については、申請範囲に含める必要はありません。
参照:国内検定Q&A
【質問】
本安関連機器が既合格品(日本国内の検定)である場合と未合格品の場合では申請書類に違いはありますか?
【回答】
まず初めに、既合格品の本安関連機器(本安バリア等)に適用された検定基準と今回の申請で適用する基準(版まで)は一致していなければなりません。内蔵される本安関連機器も当該検定合格証の範囲に含まれるからです。この論理により、基準(版まで)が一致していない場合は既合格品として扱うことができません。
本安関連機器が既合格品であるならば、詳細図面(組立図、回路図、部品表、等)、本安関連機器単体の試験実施のためのサンプル(部品のみを実装した基板、等)は不要です。
申請時の提出書類で、本安バリアに関係するものとしては、
平成23年TIIS発行の型式検定の手引き「型式検定の手引き(本質安全防爆構造の防爆構造電気機械器具における同一型式の範囲の考え方)」の2.1.2(6)には、以下が記載されています。
「耐圧防爆構造と組み合わされた本安関連機器は、耐圧防爆構造の容器内部での爆発による本安性への影響の確認が本手引きの発行前は何れの規格でも必要でしたが、今後は国際整合防爆指針では不要です。ただし、工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆2006)では従来とおり必要です。」
【質問】
NCSへの申請ではどのような扱いになりますか?
【回答】
NCSでも上記と同様の扱いとしています。
つまり、
国際整合防爆指針(Ex 2015, Ex2018等)で申請する場合:爆発による本安性能への影響の確認は不要
構造規格(ガス蒸気防爆2006)で申請する場合:爆発による本安性能への影響の確認が必要
本質安全防爆の観点のみを説明しています。耐圧防爆に関しては、影響がない場合、ある場合もあります。
2台のバリアを収納する製品の場合を例として説明します。ここでは、バリアAとバリアBが互いに同一型式とみなせない場合について考えます。
1台目バリア | 2台目バリア | 備考 |
---|---|---|
バリアA | バリアB | 供試品 |
バリアA | バリアA | 同一型式 |
バリアB | バリアB | 同一型式 |
バリアA | 無 | 同一型式 |
バリアB | 無 | 同一型式 |
システム構成図(いわゆる、本安control drawing)に指定された接続の仕方にもよりますが、この表のような扱いが可能と考えます。
※内圧容器=内圧防爆容器
【質問】
耐圧防爆容器に本安関連機器を内蔵した製品の申請では、耐圧防爆と本質安全防爆構造の組合せの申請である必要があるということですが、内圧防爆容器に本安関連機器を内蔵する場合はどのような扱いとなりますか?
【回答】
内圧防爆容器に本安関連機器を内蔵する場合、内圧防爆容器の内部、非危険場所(に準ずる箇所)に取り付けられることから、バリアメーカーの合格条件、取説等に従って行う”設置”として扱うことができると考えられます。
このような事情から、必ずしも組合せの申請とする必要はありません。
しかしながら、検定合格の範囲(=評価された範囲)を明確にする観点から、銘板に表示される防爆記号と申請範囲は一致させる必要があります。従って、
防爆記号に本安関連機器を含めないことを選択される場合は、申請の範囲に含める必要はありません。
防爆記号に本安関連機器を含めることを選択される場合は、申請の範囲に含める必要があります。
※TIIS殿への申請では、内圧防爆容器に本安関連機器を内蔵する製品の申請の場合は、上記のいずれの場合であっても、一律に申請の範囲に含めないこととなっています。この点についての運用はNCSとTIIS殿では違うことになります。
機械等検定規則の第14条では、型式検定に合格した型式の防爆構造電気器具の見やすい箇所に「型式検定合格標章」を取り付けなければならないと定められています。型式検定合格標章の様式も定められています。
申請書類にご使用いただける言語について、以下の通り規定します。
1. 警告表示および注意表示 (総則 29.13 関連)
2. 取扱説明書 (総則 30 関連)
3. 銘板 (総則 29 関連)
4. その他の書類 (図面、データシート等)
審査の過程で見つかった問題点は、その重要度によって以下のように分類されます。
【軽微な不備事項】
以下のような軽微な書類上の不備は、通常追加費用なしで修正できます。
ただし、これらの軽微な不備が多数ある場合は、是正処置(追加の対応)が必要となり、追加費用が発生することがあります。
【是正処置が必要な事項】
以下のような技術的な問題は、正式な是正処置が必要です。
これらの場合は、是正処置のための追加費用が発生します。
【重大な不適合】
製品の安全性に関わる重大な問題など、是正処置では対応できない不適合が見つかった場合は、審査は不合格となります。
【是正処置の費用と期間】
是正処置にかかる費用や期間は、問題の内容や対応の複雑さによって大きく異なります。そのため、一律の費用や日数をあらかじめ提示することはできません。個別の状況に応じて判断させていただきます。
【是正処置の流れ】
軽微でない不備が見つかった場合の流れは以下の通りです:
※「是正処置計画」としては、以下の内容を明記してください:
【質問】
検定申請後に、設計の変更をしたいという事情が発生したのですが、変更することはできますか?
【回答】
変更による審査作業への影響の程度によります。審査の段階、変更の内容、戻り作業の内容、等によります。
内容によっては是正処置に準じた追加料金が発生します。
【履歴】