防爆 検定 NCS エヌ・シー・エス
日本国内制度と関連法令の紹介

エヌ・シー・エス株式会社のホームページへ 2024.07.12

用語集

目次

防爆電気機器の型式検定の申請の種類

労働安全衛生法に基づく型式検定の対象となる品目は定められていますが、防爆構造電気機械器具もこの品目に該当します。

型式検定の申請には次の4種類があります。

  1. 【新規申請】
    型式検定合格証を交付されていない防爆機器について、新規に検定を申請するもの

  2. 【更新申請】
    既に交付された型式合格証の有効期間を更新するもの
    ※「同一型式」として認められるものに限定されますが、合格証でカバーされる型式の範囲を追加することができます。

  3. 【合格証記載事項変更申請】
    型式検定合格証に記載されている事項、例えば、社名や住所を変更する必要が生じた際に申請するもの

  4. 【合格証再交付申請】
    交付を受けている合格証を紛失した場合などに再交付を受けるための申請です。

法律・政令・省令・告示・通達について

防爆構造電気機械器具の関連法規の階層構造を紹介します。

【1】労働安全衛生法 【法律】

労働安全衛生法(安衛法) | English<法律>

【事業者の立場として】

(事業者の行うべき調査等)

第二十八条の二 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(第五十七条第一項の政令で定める物及び第五十七条の二第一項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等を除く。)を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。

 厚生労働大臣は、前条第一項及び第三項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。

【つまり】

ここである「調査」とは、いわゆるリスクアセスメントを指しています。どのような危険源があるか?それらに対してどのような対策が必要か?対策を施したのちの危険源によるリスクは十分に低減されているか?などが必要ですよ、ということです。

【参考文献】

【2】労働安全衛生法施行令 【政令】

労働安全衛生法施行令(安衛法施行令) | English<政令>

【3】労働安全衛生規則 【省令】

労働安全衛生規則(安衛則) | English<省令>

※については、主語が「事業者は」と「労働者は」の事項が含まれています。

【4】機械等検定規則 【省令】

機械等検定規則 | English <省令>

読み方

機械等検定規則の第六条(新規検定の申請等)

1 (労働安全衛生法)法第四十四条の二第一項又は第二項の規定による検定(以下「型式検定」という。)であつて新規のもの(以下「新規検定」という。)を受けようとする者は、当該新規検定を受けようとする型式ごとに、新規検定申請書様式第六号に次の図面及び書面を添えて、型式検定を行う者(以下「型式検定実施者」という。)に提出しなければならない。

2 新規検定を受けようとする者のうち、当該型式の機械等を輸入し、又は外国において製造したものは、前項の申請書に当該機械等の構造が法第四十二条の厚生労働大臣が定める規格に適合していることを厚生労働大臣が指定する者(外国に住所を有するものに限る。)が明らかにする書面を添付することができる。この場合において当該書面が添付されたときは、前項の規定にかかわらず同項第四号の書面の提出を省略することができる。

3 新規検定を受けようとする者は、第一項に規定するもののほか、別表第一の上欄に掲げる機械等の種類に応じて、それぞれ、同表の中欄に定める現品その他新規検定を受けるために必要なものについて同表の下欄に定める数を型式検定実施者に提出しなければならない。

4 第一項の規定による申請をした者(以下「新規検定申請者」という。)は、新規検定を受けるために必要な準備をしなければならない。

機械等検定規則の第八条型式検定の基準)

1 (労働安全衛生法)法第四十四条の二第三項の厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。

2 型式検定を受けようとする者であつて、随時他の者の有する作動試験用のゴム、ゴム化合物若しくは合成樹脂を練るロール機、法別表第二第一号に掲げる機械等の作動試験機、作動試験用のプレス機械若しくはシャー(ポジティブクラッチ付きのものを除く。)、爆発試験設備、防じん試験設備、振動試験設備、加速度測定設備、作動試験用のジブクレーン、作動試験用の移動式クレーン、排気弁の作動気密試験設備、二酸化炭素濃度上昇値試験設備、騒音試験設備、漏れ率試験設備、ぬれ抵抗試験設備、面体の気密試験設備又は公称稼働時間試験設備を利用することができるものは、前項第二号イの規定の適用については、これらの設備を有する者とみなす。

3 外国において製造された型式検定対象機械等の型式検定を受けようとする者(次項の者を除く。)については、当該機械等の製造者が第一項第二号イからニまでに掲げる設備等に相当する設備等を有する場合には、同号の規定は、適用しない。

4 単品として製造された型式検定対象機械等の型式について型式検定を受けようとする者については、第一項第二号並びに第六条第一項第三号及び第四号の規定は、適用しない。

【5】電気機械器具防爆構造規格 【告示】

電気機械器具防爆構造規格 | English<告示>

【6】厚生労働省通達 【通達】

非電気機器防爆について

物理の観点からは、電気機器に起因する点火リスクだけでなく、(主として可動部をもつ機械的装置)非電気による点火リスクも存在するのが事実としてあります。EN 1127-1には、13個の点火リスクが列挙されています。したがって、爆発を起こさないようにするには、これらのリスクへの対処は必須です。

EUの2014/34/EU (ATEX)指令においては、これらの非電気機器によるリスクについても対策をとることが要求事項としてあり、具体的な整合規格として、EN ISO 80079-36:2016, EN ISO 80079-37:2016が指定されています。

日本国内では、少なくとも現時点では、電気機器のみが検定の対象とされており、非電気機器については検定の対象とはされていませんが、製造者、事業者がリスクを評価し、必要な低減策をとり、爆発が起こらないように努めることは求められています。(労働安全衛生法の二十八条の二において、「事業者の行うべき調査等」を行うことに努めることが規定されています。)

ユーザーのための工場防爆設備ガイド (JNIOSH-TR-NO.44 (2012))の「1.2.4 発火源としての非電気機器」をご参照ください。


【EN 1127-1:2019 より抜粋】

[1] 高温表面
[2] 火炎と高温ガス(高温粒子を含む)
[3] 機械的に発生する衝撃、摩擦、摩耗
[4] 電気機器、電気コンポーネント
[5] 迷走電流とカソード防食
[6] 静電気
[7] 雷
[8] $10^{4} \sim 3\times 10^{11}$ Hzの無線周波数(RF)電磁波
[9] $3\times 10^{11}\sim 3×10^{15}$ Hzの電磁波
[10] イオン放射 (X線, 放射性物質、などにより発生)
[11] 超音波
[12] 断熱圧縮と衝撃波
[13] 発熱反応 (粉塵の自己着火を含む)

非電気機器(メカニカル、機械的)の点火源もありますが、これらについては特化した規格があります。(邦訳版はございません)

これらについての講習や規格対応についてご支援することができますので、ご要望のある方はぜひご相談ください。

型式検定の実施についての法的根拠

可燃性ガス又は引火性の物の蒸気(以下、「可燃性ガス・蒸気」という)、若しくは可燃性粉じんが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある場所、又は爆燃性の粉じんが存在して爆発の危険性がある場所で使用する電気機械器具は、防爆構造電気機械器具を使用しなければならないと労働安全衛生規則第 280 条、281 条及び 282 条で定められています。

また、労働安全衛生法第四十二条により、厚生労働大臣が定めた「電気機械器具防爆構造規格(昭和 44 年、労働省告⽰第16 号)」(以下、「構造規格」 という。)を具備した防爆構造電気機械器具(以下、「防爆電気機器」 という 。)でなければ、譲渡し、貸与し、又は設置することができません。

労働安全衛生法第四十四条の二(型式検定)により、防爆構造電気機械器具については、型式検定を受けなければならないとされています。

この型式検定は、機械等検定規則 (昭和 47 年、労働省令第 45 号)に基づいて⾏われます。

検定の方法について

※新規検定、更新検定が対象

「型式検定」には、新たに防爆電気機器に対して検定を⾏う「新規検定」と、既に型式検定に合格しているものについて型式検定合格証の有効期間の満了前に有効期間の更新を⾏う「更新検定」とがあります。更新検定では、「同一型式」として認められるものに限定されますが、合格証でカバーされる型式の範囲を追加することができます。

型式検定(新規、更新)においては以下が審査されます。


【検定審査の概要】

No. 項目 備考
(1) 厚生労働大臣の定める構造規格に適合していること この審査の詳細は下記の「型式検定で使用する基準」参照
(2) 製造設備、検査設備が一定の要件を満たしていること 防爆構造ごとに要求されるものが異なりますこちらを参照
(3) 工作責任者が一定の要件を満たしていること 要件はこちらを参照
(4) 検査組織が整備され、検査基準、検査方法の規定が定められていること 検査基準や検査方法は、防爆構造ごとに異なります

型式検定で使用する基準

日本の防爆検定においては、大きく分けて二つの規格系統が存在します。一つは日本独自の構造規格に基づくものであり、もう一つは国際電気標準会議(IEC)の規格に基づくものです。これらは日本における防爆検定の基盤となっています。

詳しくは、NCSホームページの国内防爆検定 から「検定基準」のページをご参照ください。

参考のために、IEC規格の系統の規格を検定基準として適用することの正確な認識を以下に記しておきます。

まず初めに、厚生労働大臣の定める構造規格とは、電気機械器具防爆構造規格 のことを指します。この中の第5条に以下の条文があります。

第五条

第二章(第八節を除く。)から第四章までに規定する規格(以下この条において「規格」という。)に適合しない電気機械器具のうち、特殊な材料が用いられており、若しくは特殊な形状であり、若しく は特殊な場所で用いられるものであり、又は規格と関連する国際規格等に基づき製造されたものであつて、規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性能を有することが試験等により確認されたものは、規格に適合しているものとみなす。

この第5条の規定により、「電気機械器具防爆構造規格 に適合するものと同等以上の防爆性能を有することを確認するための基準等」として、国際整合規格(IEC規格)の適用が認められている、という次第です。

危険個所と防爆構造の関係について

電気機械器具防爆構造規格 の第二条に以下があります。

第二条 規則第二百八十条第一項に規定する電気機械器具の構造は、次の各号の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める防爆構造でなければならない。


一 特別危険箇所 本質安全防爆構造(第四十三条第二項第一号に定める状態においてガス又は蒸気に点火するおそれがないものに限る。)、樹脂充てん防爆構造(第五十三条第一号に定める状態においてガス又は蒸気に点火するおそれがないものに限る。)又はこれらと同等以上の防爆性能を有する特殊防爆構造


二 第一類危険箇所 耐圧防爆構造、内圧防爆構造、安全増防爆構造、油入防爆構造、本質安全防爆構造、樹脂充てん防爆構造又はこれらと同等以上の防爆性能を有する特殊防爆構造


三 第二類危険箇所 耐圧防爆構造、内圧防爆構造、安全増防爆構造、油入防爆構造、本質安全防爆構造、樹脂充てん防爆構造、非点火防爆構造又は特殊防爆構造


2 規則第二百八十一条第一項に規定する電気機械器具の構造は、粉じん防爆普通防じん構造又は粉じん防爆特殊防じん構造でなければならない。


3 規則第二百八十二条第一項に規定する電気機械器具の構造は、粉じん防爆特殊防じん構造でなければならない。


(昭四七労告八〇・平二〇厚労告八八・一部改正)

製造検査設備等の概要書について

製造者に要求されること

登録型式検定機関について

日本国内の防爆検定機関

その他の危険場所に関連するその他の法令等

電気事業法関連

(可燃性のガス等により爆発する危険のある場所における施設の禁止)

第六十九条 次の各号に掲げる場所に施設する電気設備は、通常の使用状態において、当該電気設備が点火源となる爆発又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

 可燃性のガス又は引火性物質の蒸気が存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所

 粉じんが存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所

 火薬類が存在する場所

 セルロイド、マッチ、石油類その他の燃えやすい危険な物質を製造し、又は貯蔵する場所

  • 電気設備の技術基準の解釈

    上記の省令で定められた技術的要件を満たすものと認められる技術的内容をできるだけ具体的に示したもの

【可燃性ガス等の存在する場所の施設】(省令第69条、第72条) 第176条

高圧ガス保安法関係

第六条(定置式製造設備に係る技術上の基準)

二十六 可燃性ガス(アンモニア及びブロムメチルを除く。)の高圧ガス設備に係る電気設備は、その設置場所及び当該ガスの種類に応じた防爆性能を有する構造のものであること。

消防法関係

付録:公民のお勉強

法令の階層構造についてまとめると

種類 制定者 効力 特徴
憲法 国民 最高法規 他のすべての法令の基礎となる 日本国憲法
法律 国会 憲法の下で最も強い 国民の権利義務に関する基本的事項を定める 労働安全衛生法
政令 内閣 法律の次に強い 法律の施行に必要な細則を定める 労働安全衛生法施行令
省令 各省大臣 政令の次に強い 各省の所管事項について細部を規定 労働安全衛生規則
告示 各省大臣 省令の次に強い 特定の事項を公示する 電気機械器具防爆構造規格
条例 地方議会 地方自治体の区域内で法的効力を持つ 地方自治体の法令 東京都青少年の健全な育成に関する条例
通達 行政機関の長 行政機関内部では拘束力あり。一般国民に対しては直接の法的拘束力はないが、実務上大きな影響力を持つ 法令の解釈や運用の指針を示す 厚生労働省通達

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