防爆 検定 NCS エヌ・シー・エス
防爆って何ですか?

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更新:2025.06.01

身近な危険から学ぶ「防爆」の世界

■ 短いバージョンのスライド

想像してみてください - あなたならどうしますか?

工場の現場で作業をしているとき、ふと一服したくなりました。周りにはガソリンのような匂いが漂っています。そんな時、うっかりライターに火をつけたら...?

想像しただけでも恐ろしいですよね。きっと誰もがそんな場所では火気厳禁だと理解できるはずです。

実は身近なものも「火種」になる

ライターの炎は確かに危険ですが、実は私たちが毎日使っている携帯電話パソコンなども、条件が揃えば爆発の引き金になってしまうことをご存知でしょうか?

こんな場面、経験ありませんか?

これらは全て、可燃性ガスがある環境では爆発の火種となる可能性があるのです。

「防爆」って何?よくある勘違い

多くの方が「防爆=爆発に耐える」と思われがちですが、実は違います。

防爆とは「爆発を起こさせない」こと

つまり、爆発に耐える頑丈さではなく、そもそも爆発の原因を作らない工夫のことなのです。

防爆電気機器の秘密

普通の電気製品を危険な環境で使うと、いつ火種になるかわかりません。そこで登場するのが「防爆電気機器」です。

どんな工夫がされているの?

これらの工夫は、長年の研究と実際の事故事例から学んだ知恵が詰まった「防爆規格」というルールブックに基づいて作られています。

私たちエヌ・シー・エス株式会社の役割

私たちは、メーカーが作った電気製品が本当に防爆規格のルールを守っているかどうかを、第三者の立場でしっかりと確認する専門会社です。いわば「安全の番人」として、皆様の安全を守るお手伝いをしています。

大切な誤解を解いておきます

防爆電気機器があるからといって、「危険なガスが充満している場所でも安心して使える」というわけではありません。

防爆機器の正しい考え方

例えば、ガソリンスタンドを思い浮かべてください。
普段はガソリンの蒸気が漂うことはありませんが、給油ホースから少し漏れたり、タンクローリーの作業でほんの一瞬だけガソリン蒸気が発生することがあります。

そんなとき、もし普通の電気製品を使っていたら?ちょっとした電気火花で大変なことになってしまいます。でも防爆機器なら、そういう「ちょっとした異常事態」が起きても火花を出さないので安心です。

防爆機器の中には、特別危険箇所(Zone 0)と呼ばれる非常に危険な環境でも使える特殊なレベルのものもありますが、どんな防爆機器でも「まず危険な環境を作らないこと」が大前提です。

Zone 0での要件を満たすものであっても、100%の安全はありません。規格も確率論に基づいて作成されています。これも大前提として認識しておくべきことでしょう。

つまり防爆機器は安全管理の「最後の砦」であり、基本的な安全対策を怠って良い理由にはなりません。

まず大切なのは「危険を作らない」こと

防爆機器に頼る前に、まずは危険な環境そのものを作らないよう努力することが何より重要です。

これらの基本的な安全対策があって初めて、防爆機器が真価を発揮するのです。

事故の報告

危険な場所

「危険な場所」というと例えば次のような場所があります。

  1. 高所
  2. 水辺
  3. 電気設備
  4. 火薬のある場所
  5. 放射線のある場所
  6. 毒ガスのある場所
  7. 工場
  8. 道路
  9. 地震・火山・津波などの自然災害場所
  10. 犯罪やトラブルが多いエリア

これらの「危険な場所」では、人が注意を払い、安全に行動することが必要になりますが、防爆における危険場所とは、爆発性雰囲気が存在しえる場所、区域を指します。

防爆の範疇での危険場所の例

危険場所の分類と防爆機器

防爆における危険場所は、いくつかに分類することができます。

危険場所の分類は、可燃性のガス、液体、粉塵、ファイバーが存在する、または放出される可能性のある領域を特定し、爆発性雰囲気が発生する頻度に基づいてそれらを特定のゾーンに分類する手続きです。これらのゾーンは、60079シリーズのIEC規格や、北米のNEC(National Electric Code)で定義されています。危険場所は、危険雰囲気の頻度と期間に応じ、ガス、蒸気の場合、Zone 0, Zone 1, Zone 2などに分類されます。以下の表を参照。

この情報は、適切な機器の選択のガイドとなり、これらの環境で安全に設置、操作、および保守されるようにするために使用されます。

危険場所の区分 定義 API RP505:1997による目安:生成時間が1年あたり
Zone 0
Zone 20
爆発性雰囲気が通常の使用状態において、連続して又は長時間にわたって、若しくは頻繁に存在 1,000 時間/を超える
Zone 1
Zone 21
通常の使用状態において、爆発性雰囲気をしばしば生成する可能性がある 10~1,000時間
Zone 2
Zone 22
通常の状態において爆発性雰囲気を生成する可能性が小さく、また生成した場合でも短時間しか持続しない 1~10時間未満

※API RP505=アメリカ石油協会の規格。時間は、あくまでも目安であり、定義ではありません。

危険場所の分類は、危険物の種類、その濃度、および放出の可能性によって異なります。危険場所で使用される機器は、特別仕様の製品(防爆機器)であり、使用される特定のZoneの適切な基準を満たすように設計、試験、そして、認証されたものである必要があります。

防爆電気機器の例

  1. 防爆モーター
  2. 防爆変圧器
  3. 防爆スイッチ(電気回路を開閉するための装置)
  4. 防爆照明器具
  5. 防爆制御盤(電気機器の制御や監視を行う装置)
  6. 防爆プラグ・ソケット
  7. 防爆接続箱(電気配線を接続するための箱)
  8. 防爆温度センサー
  9. 防爆ソレノイドバルブ(電気信号によって流体の流れを制御する装置)
  10. 防爆カメラ
  11. 防爆通信機器
  12. 防爆スマホ

防爆構造の種類

防爆構造には以下のような種類があります。

  1. 耐圧防爆構造

  2. 内圧防爆構造

  3. 油入防爆構造

  4. 安全増防爆構造

  5. 本質安全防爆構造

  6. 樹脂充塡防爆構造

  7. 非点火防爆構造

  8. 容器による粉じん防爆構造

防爆構造には、爆発性雰囲気の存在する場所や使用目的に応じて、適切なものを選択する必要があります。

耐圧防爆構造

容器が、その内部に侵入した爆発性雰囲気の内部爆発に対して、損傷を受けることなく耐え、かつ、容器のすべての接合部又は構造上の開口部を通して外部の爆発性雰囲気へ発火を生じることのない電気機器の防爆構造

内圧防爆構造

容器内の保護ガスの圧力を外部の雰囲気の圧力より高く 保持することによって、又は容器内の爆発性ガスの濃度を爆発下限界より十分に低いレベルに希釈することによって、 防爆性能を確保する電気機器の防爆構造

油入防爆構造

電気機器及び電気機器の部分を油に浸す構造であり、さらに油の上、又は容器の外部に存在する爆発性雰囲気へ発火を生じることがない電気機器の防爆構造

安全増防爆構造

通常の使用中にはアーク又は火花を発生することのない電気機器に適用する防爆構造であって、過度な温度の可能性並びに異常なアーク及び火花の発生の可能性に対して安全性を増加する手段が講じられた電気機器の防爆構造

本質安全防爆構造

通常の状態及び仮定した故障状態において、電気回路に発生する電気火花及び高温部が規定された試験条件で所定の試験ガスが発火しないようにした防爆構造

樹脂充塡防爆構造

電気機械器具を構成する部分であって、火花若しくはアークを発し、又は高温となって点火源となるおそれがあるものを樹脂の中に囲むことにより、ガス又は蒸気に点火しないようにした構造をいう。

非点火防爆構造

電気機器に適用する防爆構造で、正常な運転中には周囲の爆発性雰囲気を発火するおそれがなく、また、発火を生じる故障を起こす可能性の少ない構造をいう

容器による粉じん防爆構造

以下の二つの組み合わせ
(1) 点火源となりうる部分を粉じんの侵入を防ぐ容器に入れることにより点火を抑制する
(2) 容器の表面温度を制限することにより点火を抑制する

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