防爆Markingに関して

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更新:2025.05.13

目次

IEC規格における防爆記号の読み方

はじめに

爆発性雰囲気が存在する危険区域で使用される電気機器。その安全性を一目で判断するための表示が防爆記号です。この記号を正しく理解できなければ、最悪の場合、爆発事故という致命的な結果を招きかねません。

例えば、「Ex db IIC T4 Gb」というマーキングを見たとき、この機器がどのような環境で安全に使用できるのか、即座に判断できますか?

本記事では、IEC規格に基づく防爆記号の体系的な読み方を解説します。安全管理者やエンジニアの方はもちろん、現場で防爆機器を扱うすべての方にとって必須の知識となるでしょう。

一般論を展開するより、具体例から感覚をつかむ方が新しい物事を理解するスタートとしては良い方法であると思いますので、具体例を豊富に用いながら、複雑に見える防爆記号を「ガスの種類」「温度等級」「保護レベル」などの要素に分解し、それぞれの意味を明快に説明していきます。

例1(IEC規格)

に従ったEx equipmentに対するEx markingとして以下の例が挙げられます。※規格の版によってマーキングが異なる場合がありますのでご注意を。

Ex db eb [ia IIA Ga] IIB+H2 T5 Gb, Ta=-40℃ to ++60℃

【補足】

例2(ATEX)

【ATEX指令特有のマーキング】DIRECTIVE 2014/34/EU Article 16

CEnnnn, ATEXヘキサゴンマーク

とともに、以下を表示します。

II 2 (1) G, Ex db eb [ia IIA Ga] IIB+H2 T5 Gb, Ta=-40℃ to ++60℃

ちなみに、下記の部分は、IEC/EN 60079 seriesの規格で要求されているマーキングです。

例3(IEC規格)

【IEC 60079-0:2011,2017, IEC 60079-2:2014, IEC 60079-11:2011, 2023】

[Ex ib Gb] [Ex pxb Gb] IIC

例4(IEC規格)

【IEC 60079-0:2011, 2017, IEC 60079-1:2014, ISO 80079-36:2016】

Ex db h IIB T5 Gb

例5(IEC規格)

Ex db ia op is pzc [ia Ga] IIC T3 Gc

その他の表示事項

  1. 製造者の名称又は登録商標
  2. 製品の型名
  3. 製造番号(シリアル番号)
  4. 認証機関が発行した認証証番号、又は、適合宣言書の識別番号(発行年と発行者の名称、および、4桁の番号を付ける)
  5. 特定の使用条件が付与されていることを明示することが必要な場合に,認証証書番号の末尾に"X"を付与する。
    ちなみに、"X"を表示するかわりに、機器上に注意書きの詳細を表示してもよい。
  6. 防爆記号

「構造規格(」ガス蒸気2006)における防爆記号について

日本固有の防爆システムを理解する

グローバルスタンダードとなっているIEC規格とは別に、日本には独自の防爆規格「構造規格(ガス蒸気2006)」が存在します。"d2G4"や"f"といった記号は国際的には通用しませんが、日本国内の産業現場では今なお広く使用されている防爆機器に表示されている防爆表示です。

この日本独自の防爆記号体系を理解することは、外国製機器と国内規格の機器が混在する現場での安全管理や、古い設備の保守点検において特に重要となります。

ここでは、「d2G4」が示す耐圧防爆構造とガスグループの関係や、「f」が表す内圧防爆の特性など、日本固有の防爆記号の読み方を実例を交えて解説します。IEC規格との対応関係にも触れながら、両方の記号体系を使いこなすための知識を提供します。

JPEx-marking

爆発等級3において記号は以下のような対応を表します。

【爆発等級の分類】

爆発等級 火炎逸走限界(MESG)の値(mm)
1 0.6< MESG
2 0.4 < MESG \le 0.6
3 MESG \le 0.4

【発火度の分類】

爆発性ガスの発火温度(℃) 発火度 電気機器の許容温度(℃) 機器の許容温度上昇(℃)
450 < TiT_i G1 360 320
300 < TiT_i \le 450 G2 240 200
200 < TiT_i \le 300 G3 160 120
135 < TiT_i \le 200 G4 110 70
100 < TiT_i \le 135 G5 80 40

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