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ATEX情報館

エヌ・シー・エス株式会社のホームページへ更新:2024.08.03

CE markingにはどのくらい費用がかかりますか?

2014/34/EU: ATEX指令についての Q&A

CEマーキングまでのステップとは

EU市場に製品を投入するには、必須の手続きがあります。その大きなものがCEマーキングです。

CEマーキングとは

製品に張り付けられたCE markingは、EEA(European Economic Area)で販売されるその製品が、安全、健康、環境保護に関する要求事項を満たす為の評価がなされ、適合していますよ、という事を宣言していることを意味します。


インターネット上で「CEマーキングを取得する」という言葉を良く目にしますが、これは正確ではありません。CEマーキングは、だれからか「取得する」ものではなく、宣言していることの証として、自ら主張し、張り付けるものです。

実は、CEマーキングの対象となる製品とそうでない製品があります。CEマーキングの対象でないものにCEマーキングを張り付けてしまうと違法となりますので、ご注意ください。

対象となる製品はManufacturers (europa.eu)に記載されている26種類の製品です。

CEマーキングを製品に張り付けるためには、EU適合宣言書(EU Declaration of Conformity,EU DoC)の作成が必要となります。

EU適合宣言書(EU Declaration of Conformity,EU DoC)は、製品が、EUで定められている該当する全ての法的要件に準拠していることを製造者が宣言する、最も重要な文書の一つです。

そしてこの宣言書の根拠となる活動は、製品が特定のEU指令や規制に準拠していることを確認するための一連のプロセスで構成されます。

おおよそ以下のようなステップとなります。

  1. 規制の特定: 対象となる製品に適用されるEUの指令(CEマーキング指令)や規制を特定します。
  2. 適用基準の選定: 製品が準拠すべき具体的な基準や規格を選定します。
  3. リスク評価: 製品のリスク評価を実施し、必要なリスク緩和策を特定します。(各指令の整合規格)
  4. 製品の設計と製造: 選定された基準に基づいて製品の設計と製造を行います。
  5. 試験と検証: 製品を適切な試験と検証にかけ、基準に準拠していることを確認します。製品によっては、Notified Body(第三者認証機関)の関与が必要となります。
  6. 技術文書の作成: 製品の設計、製造、試験などに関する技術文書を作成します。
  7. EU適合宣言書の作成: 上記のプロセスを基に、EU適合宣言書を作成し、製品が関連するEU指令や規制に準拠していることを宣言します。
  8. 製品のマーキング: 必要に応じて、製品にCEマーキングなどの特定のマーキングを貼り付けます。
  9. 維持: 適合性の維持に必要な活動を続けます。

CEマーキングを製品に取り付けるようになるためには、その製品に該当する全てのEU指令への適合を宣言できる状態にする必要があります。ATEX, EMC, RoHS, それができて初めてCEマーキングを取り付けることができるのです。ATEX指令への適合は、EU指令の一つ

詳しくは、European Commissionの公式ページをご覧ください。

指令の番号 タイトル
2014/53/EU(RED) Radio Equipment Directive
2006/42/EC(MD) Machinery Directive
2014/30/EU(EMC) Electromagnetic Compatibility Directive
2011/65/EU(RoHS) Restriction of the use of certain Hazardous Substances Directive

防爆機器に対して該当する指令としては以下のようなものがあります:

ATEXとは

ATEXとは、爆発性雰囲気(Atmosphères Explosibles)の略称で、この環境下での安全に関するEUの指令を指します。ATEX指令には主に2つあります:

  1. Directive 2014/34/EU:

    • 防爆機器に関する要求事項を規定
    • 2016年4月20日から適用開始
    • 電気機器と非電気機器の両方を対象
  2. Directive 99/92/EC:

    • 通称ATEX 137、又は、ATEX workplace directive
    • 爆発性雰囲気における作業者の安全に関する指令

重要ポイント:

この指令により、欧州市場における防爆機器の安全性と自由な流通が確保されています。

EU適合宣言書とEU市場への投入

  1. EU適合宣言書の作成は、製造者の責任です。

  2. EU適合宣言書は、製品を上市する前に作成する必要があります。

  3. 製造者は、製品と共にEU適合宣言書のコピーを提供しなければなりません。

  4. 大量の製品を単一のユーザーに納入する場合、1つのバッチまたは出荷に1つのコピーを付けることができます。

  5. EU適合宣言書は、製品が上市されてから10年間保管する必要があります。

  6. コンポーネントの場合は、EU適合宣言書の代わりに適合証明書(Attestation of Conformity)を作成します。

  7. 技術文書の保管方法について:

    • 紙形式または電子形式で保管可能
    • 10年間保管が必要
    • 市場監視当局の要求に応じて提出できるようにしておく
  8. EU加盟国以外の製造者の場合、輸入業者または代理人がEU適合宣言書を保管する責任を負います。

  9. 製品の出荷前に適合性評価手順を完了し、EU適合宣言書を作成する必要があります。

ATEX製品の上市とEU適合宣言書に関する主要な要件をカバーできる内容です。

CE markingにはどのくらい費用がかかりますか?

などなど、いろいろな要素によって異なりますので、一概には答えられるものではありません。

少なくとも、以下の要素を考慮する必要があるでしょう。

費用の主な要素

  1. 適合性評価の費用

    • 自社で行う場合:人件費、時間、リソースの投入
    • Notified Bodyの関与が必要な場合:外部機関への支払い(数千〜数万ユーロ程度)
  2. 試験費用

    • 製品の種類や複雑さによって大きく異なる
    • 防爆試験、電気安全試験、EMC試験、環境試験など(数千〜数万ユーロ程度)
  3. 技術文書作成費用

    • 社内で作成する場合:人件費
    • 外部コンサルタントを利用する場合:コンサルタント料(数千〜数万ユーロ程度)
  4. 製品設計変更費用(必要な場合)

    • 既存製品の変更や新製品の開発費用
  5. 翻訳費用

    • EU公用語への取扱説明書やラベルの翻訳(言語数によって変動)
  6. 継続的なコンプライアンス維持費用

    • 定期的な再評価、文書更新、市場監視対応など

コスト削減のためのヒント

  1. 事前に十分な調査と計画を行う
  2. 可能な限り社内リソースを活用する
  3. 類似製品のCEマーキング取得経験を持つコンサルタントを活用する
  4. 複数の製品を同時に申請することでスケールメリットを得る
  5. 適切な規格や指令を選択し、不要な評価を避ける

まとめ

CEマーキング取得の費用は、製品の特性や企業の状況によって大きく異なります。しかし、EU市場へのアクセスを得るための投資として捉え、長期的な視点で評価することが重要です。また、プロセスを通じて得られる知識や経験は、今後の製品開発や品質管理にも活かせる貴重な資産となります。

費用を正確に見積もるためには、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。また、EU委員会や各国の規制当局が提供する無料のガイダンスや情報も活用すると良いでしょう。

サポートプロジェクト

便利情報

2014/34/EU: ATEX指令についての Q&A

Q1: ATEX 2014/34/EU指令とは何ですか?

A1: ATEX 2014/34/EU指令は、爆発性雰囲気(可燃性ガスや粉塵が存在する環境)で使用される装置や保護システムに関するEUの法律です。この指令は、製品の安全性を確保し、EU内での自由な商品流通を促進することを目的としています。

Q2: ATEX指令の対象となる製品は何ですか?

A2: 爆発性雰囲気で使用される装置、保護システム、及び安全機能に関連する装置や部品が対象です。これには電気・非電気機器、制御装置、警告システムなどが含まれます。

Q3: ATEX指令はどの地域で適用されますか?

A3: ATEX指令は、EU加盟国および欧州経済領域(EEA)加盟国に適用されます。

Q4: ATEX指令の遵守を証明するにはどうすればよいですか?

A4: 製品がATEX指令の安全要件に適合していることを証明するために、適合性評価手続きを完了し、CEマーキングを製品に施し、EU適合性宣言を発行する必要があります。

Q5: CEマーキングとは何ですか?

A5: CEマーキングは、製品がEUの安全、健康、環境保護要求に適合していることを示すマークです。ATEX指令対象製品にはこのマーキングが必須です。

Q6: 製品がATEX指令に適合していることをどのようにして確認できますか?

A6: 製造者は適合性評価手続きを通じて製品評価を行い、製品が指令の要件を満たしていることを証明するEU適合性宣言を提供する必要があります。

Q7: ATEX指令適合性評価手続きにはどのようなものがありますか?

A7: 評価手続きには、自己宣言や第三者による認証が含まれます。製品のカテゴリーによっては、認証機関による評価が求められる場合があります。

Q8: ATEX指令に関する情報はどこで入手できますか?

A8: ATEX指令に関する情報は、欧州委員会のウェブサイトや指令を実施する国の市場監視機関から入手することができます。

Q9: ATEX指令の違反が見つかった場合、どのような措置が取られますか?

A9: 不適合な製品が市場に出回っていることが発覚した場合、製品の回収や販売禁止などの措置が取られることがあります。

Q10: ATEX指令の最新の改訂版はいつ公布されましたか?

A10: ATEX 2014/34/EU指令は、2014年に公布されました。この指令は以前の94/9/EC指令を置き換え、2016年4月20日から適用されています。

Q11: ATEX指令の適用除外対象はありますか?

ATEX指令2014/34/EUには以下の製品が適用除外とされています:

これらの適用除外の判断は、製品の製造者が行う必要があります。製造者は製品の意図された使用目的や特性に基づいて、指令の適用対象となるかを判断しなければなりません。ただし、適用除外とするかどうか不明確な場合は、各国の所轄官庁に相談することが推奨されます。また市場監視当局が、製造者の判断が適切でないと判断した場合は、指令の適用を求める可能性もあります。そのため、適用除外とする場合は、その根拠を明確に説明できるようにしておくことが重要です。

セミナーコースの例

[1] ATEX 2014/34/EU(ATEX指令)の概要

本コースは、ATEX 2014/34/EUの基本原理を紹介するもので、火災・爆発の危険性のある分野に初めて携わる方や、経験の浅い方への復習にも適しています。

2時間程度で修了できます。理解度の把握のための小テストも準備しております。
修了時には受講証明書を発行いたしますので、社内の研修記録としても活用できます。

コンテンツ:

[2] Ex QAN/QARの品質マネジメントシステム要求事項

本コースは、Ex製品の製造に関わる品質マネジメントシステム(QMS)の概要を提供することを目的としています。

受講者がATEX QANおよびIECEx QAR監査に備え、理解を深められるようになるための基礎知識の習得に適しています。

理解度確認の小テストも準備しています。
修了時には受講証明書を発行いたしますので、社内の研修記録としても活用できます。

コンテンツ:

ご相談

このプロセスは、製品の種類や適用される規制によって異なる場合があるため、専門家と連携することが重要です。

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