MESGとガス、および粉塵:科学的観点

更新:2025.01.02
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MESGについて

IEC 60079-20は、Maximum Experimental Safe Gap (MESG)もしくは、Minimum Igniting Current (MIC)を使うことにより可燃性ガスをgas group, I, IIA, IIB, IICに分類している。

IEC 60079-1:2014のclause 3.7において以下のようなMESGの定義がある:

maximum gap of a joint of 25 mm in width which prevents any transmission of an explosion during 10 tests made under the conditions specified in IEC 60079-20-1

25mmの奥行きの接合面において、IEC 60079-20-1 に定める条件下で 10 回の爆発引火試験を行ったときに、1度も引火しない最大すきまである。

MESGの値は、対象ガスの特性を指標化したものと考えることができる。正確なことを言うと、MESGを決定するのに使用する容器の構造にも依存する。実際に、アメリカ式のMESGとIEC式のMESGでは値が異なる。MESGという言葉が出てきたら、どの容器でのMESGですか?と訊かなければならないですね。

MESGの値とは、ある容器において、ある条件下で、内部容器のgapを変化させていき、内部の引火が外部に伝搬するか否かによって決められるgapの最大の値である。上記のIEC規格では、以下のような試験装置を使用している。

IEC60079-20-1-Fig1

<IEC 60079-20-1:2010より引用>

IECによるgas groupとMESGの関係について

Gas group Gas MESG (mm) ガスの例
IIC MESG\le 0.5 アセチレン(C2H2), 水素(H2)
IIB 0.5<MESG < 0.9 エチレン(C2H4)
IIA 0.9 \le MESG プロパン(C3H8)

IECによるgas groupとMIC ratioの関係について

Gas Group MIC Ratioの範囲
グループⅡA MIC Ratio>0.8{\text{MIC Ratio}} > 0.8
グループⅡB 0.45MIC Ratio0.80.45\le {\text{MIC Ratio}}\le 0.8
グループⅡC MIC Ratio<0.45{\text{MIC Ratio}}<0.45

National Electrical Code(NEC)によるClass I Groupとgas MESGの関係について

NEC Class I Group Gas MESG (mm) ガスの例
Group A (アセチレンのMESG) アセチレン(C2H2) [Group Aの唯一のガス]
Group B MESG\le 0.45 水素(H2)
Group C 0.45 < MESG \le 0.75 エチレン(C2H4)
Group D 0.75 < MESG プロパン(C3H8)

ガスの性質

ガス名 発火点(℃) 火炎温度(℃) 燃焼速度(m/s) 燃焼濃度範囲(%) 比重
空気 1
アセチレン 305 3330 7.60 2.5 to 81.0 0.9073
エチレン 450 3000 5.43 3.1 to 32.0 0.975
プロパン 432 2600 0.43 [空気中]
3.9 [酸素中]
2.2 to 9.5 1.52
メタン 537 2780 0.4 [空気中]
3.9 [酸素中]
5.0 to 15.0 0.55
水素 527 [空気中]
450 [酸素中]
2045 [空気中]
2660 [酸素中]
2.65 4.0 to 94.0 0.0695

粉塵の区分に関して

グループⅢの細分類 (日本国内:基発0812 第5号 令和3年8月 12 日)

区分 防爆機器を使用しようとする場所における粉じんの性質
グループIIIA 繊維を含む可燃性の固体粒子であって公称粒子径が 500μm を超えるものをいい、空気中に浮遊することがあり、自重によって大気から分離して堆積することがあるもの
グループIIIB 可燃性粉じん※であって、電気抵抗率が1,000Ω・m を超えるもの
グループIIIC 可燃性粉じん※であって、電気抵抗率が1,000Ω・m 以下のもの

※ 微細固体粒子であって公称粒子径が 500μm 以下のものであり、大気中に浮遊するか、自重により大気から分離して堆積するもので、空気中で燃焼又は白熱し、大気圧・常温において空気との爆発性混合物を形成することがあるもの。


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