防爆 検定 NCS エヌ・シー・エス
供試品の防爆構造の説明について

エヌ・シー・エス株式会社のホームページへ 2024.09.04


1. 目的

検定申請の際、「申請品がどのように防爆構造を実現しているか」を明確に説明することは極めて重要です。この説明は、審査をスムーズに進行させ、検定審査担当者が申請品の防爆構造の詳細を正確に理解するために不可欠です。

防爆規格では、設計、構造、試験、表示などに関する要求事項が規定されていますが、これらの要件を満たす方法は通常複数存在します。特に本質安全防爆構造では、この傾向が顕著です。

2. 防爆構造の要素

製品には以下のような様々な要素があり、これらが防爆構造にどのような役割を果たすかを設計者が決定します:

3. 説明の重要性

検定審査担当者は防爆規格に精通していますが、新しい申請品に接する際、図面や現物だけでは防爆構造の実現方法を完全に理解するのは困難です。設計者の意図を確認することが不可欠となります。

例えば:

このような場合、Oリングが防爆構造の保持に果たす役割を明示的に記載することで、理解が容易になります。

また、本質安全防爆構造の場合:

4. 説明書の作成ガイドライン

「供試品の防爆構造の説明」は、以下のポイントを考慮して作成してください:

  1. 全体像から詳細へと展開する構成を心がけてください。
  2. 特定の形式は定めていませんが、「申請品がどのように防爆構造を実現しているか」の概要を説明してください。
  3. 詳細は図面などと合わせて理解できるようにしてください。
  4. 視覚資料(写真、動画、手描きの図など)を添えると、より分かりやすくなります。

例:

5. 申請品の意図する使用(intended use)と環境について

以下の点についても詳細に説明してください:

これらの情報は、温度試験や爆発試験の条件に影響を与える重要な要素です。また、機器の設計上の制限や使用上の注意点を明確にするためにも不可欠です。

例えば:
「本機器の検出部(センサー部)はZone 1の危険場所に設置され、IIB T4の爆発性ガスに接触する可能性があります。一方、表示部と電源部は非危険場所に設置されます。センサー部と表示部は専用ケーブルで接続され、このケーブルは一部Zone 1を通過します。」

このような具体的な説明により、機器の各部分に適用される防爆要件や、必要な試験条件が明確になります。

6. 防爆構造の具体的な実現方法

上記の使用環境を踏まえ、どのようにして防爆性能を実現しているかを説明してください:

これらの説明により、設計者の意図が明確に伝わり、検定審査がよりスムーズに進行します。また、同一型式品がある場合の範囲説明も容易になります。視覚的な資料(図面へのマーキング、概略図など)を用いることで、さらに理解が深まります。

製品の防爆構造に最も精通しているのは設計者です。この説明書を通じて、設計者の意図を明確に伝えることで、検定審査がよりスムーズに進行し、同一型式品がある場合の範囲説明も容易になります。

■作成例

耐圧防爆構造

防爆構造の説明書の主要な要素の例

項目 説明内容
1. 適用規格 - JNIOSH-TR-46シリーズ
- IEC 60079シリーズ
- その他関連規格
2. 製品概要 - 一般的な用途と機能
- 主要な特徴(防爆以外)
3. 使用環境 - 想定される使用場所
- 環境条件と制限事項
4. 防爆記号 - Ex記号(例:Ex db IIB+H2 T5 Gb)
- 各記号の意味
5. 外部熱源 - 熱源・冷却源との関係
- 最高表面温度制御方法
6. 点火源 - 想定される点火源
- 点火源の封じ込め方法
7. 環境耐性 - 紫外線、腐食性物質への耐性
- 使用材料の特性
8. 防爆容器詳細 - 構造(材質、内容積、隔壁)
- 締め付け部品の仕様
9. 電気部品 - 電池、ヒューズ、コンデンサーの有無と仕様
- LED、レーザーの有無と仕様
10. 非金属部材 - 容器外側の非金属材料
- 固着部の説明
11. 銘板 - 材質
- 取り付け方法
12. 電気定格 - 通常使用時の動作説明
- 温度試験条件との関連
13. 耐圧防爆接合部 - 接合部の種類
- 各接合部の詳細寸法、材質、仕様
14. ケーブルグランド・閉止栓 - 使用製品の型式、認証情報
- 接合部の仕様
15. 使用条件 - ケーブルグランドの使用条件
- 接合部の設計上の注意点
16. 接合部の設計詳細 - ガスグループごとの内容積
- 接合部の寸法、隙間、はめ合い情報
17. 試験結果 - 実施した型式試験や性能試験の概要
- 主要な試験結果
18. メンテナンス手順 - 定期点検の方法
- 部品交換や修理に関する注意事項

本質安全防爆構造

本質安全防爆構造の説明書の主要な要素の例

項目 説明内容 関連clause
1. 適用規格 - JNIOSH-TR-46-6:2015
- IEC 60079-11:2011
- その他関連規格
1
2. 製品概要 - 一般的な用途と機能
- 主要な特徴(防爆以外)
-
3. 使用環境 - 想定される使用場所
- 環境条件と制限事項
4
4. 防爆記号 - Ex記号(例:Ex ia IIC T4 Ga)
- 各記号の意味
4, 5
5. 本質安全パラメータ - UiU_i, IiI_i, PiP_i, CiC_i, LiL_i
- UoU_o, IoI_o, PoP_o, CoC_o, LoL_o
3.13, 5.2-5.4
6. 温度関係 - 最高表面温度制御方法
- 温度等級の決定
5.6
7. 火花点火防止 - 火花点火評価方法
- 安全率の適用
5.5
8. 電気回路設計 - 回路図
- 安全保持部品の説明
7, 8
9. 隔離距離 - 絶縁空間距離、沿面距離
- 固体絶縁の評価
6.3
10. 容器構造 - IP保護等級
- 材質、構造の詳細
6.1
11. 電池 - 電池の種類、定格
- 電池交換方法
7.4
12. 外部接続 - 端子、コネクタの仕様
- ケーブル要件
6.2
13. 樹脂充填 - 充填材の種類、特性
- 充填方法
6.6
14. ダイオード安全保持器 - 構造、定格
- 接地方法
9.1
15. 銘板 - 材質
- 取り付け方法
- 表示内容
12
16. 試験結果 - 型式試験の概要
- 主要な試験結果
10
17. ルーチン試験 - 製造時の試験項目
- 試験方法
11
18. メンテナンス手順 - 定期点検の方法
- 部品交換や修理に関する注意事項
-
19. 文書要件 - 図面、回路図
- 部品リスト、仕様書
13

■補助資料

■ 図面のみでは、理解できないことが多いので、供試品の全体像、防爆構造に寄与する部分、操作について、注意点、等、があれば、ご送付頂けるとよりスムーズに審査が進められます。


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