防爆検定 Q&A

初めての申請もこれで安心!会話形式で学ぶやさしいガイド

登場人物紹介

このページでは、以下の二人の会話を通じて、防爆電気機器の型式検定申請のポイントを分かりやすく解説します。

Aさん

防爆のプロ(解説担当)。豊富な知識で申請の疑問を解決してくれる。

Bさん

申請担当者。初めての申請で、何から手をつけていいか困っている。

📑 目次

【導入】そもそも「防爆」って、なぜ必要?

Bさん
Aさん、こんにちは。これから防爆電気機器の検定申請をしたいのですが、何から手をつけていいか…。そもそも「防爆」って、なぜこんなに厳しく管理されているんですか?
Aさん
Bさん、こんにちは!良いご質問ですね。例えば、可燃性ガスがある場所では「①可燃物」「②酸素」「③点火源」の3つが揃うと爆発が起こります。粉じんの場合は、これに加えて「粉じんが空気中に舞っている状態」などの条件が重なると、さらに大きな爆発につながるんです。防爆電気機器は、どちらのケースでも共通の原因となる「③点火源」にならないように、特別に設計された機器なんですよ。
Bさん
へぇー、なるほど!ガスと粉じんでは少し条件が違うんですね。でも、どちらも「点火源」をなくすことが重要なんだ!
Aさん
その通り!だからこそ、その安全性を国が認めた機関で証明する「検定」が必要になるわけです。これから一緒に、申請のポイントを一つずつ見ていきましょう。

【第1章】申請の第一歩!「申請書」の書き方

Bさん
まずは申請書ですね。特に「定格」の欄が、何を書けばいいのか分からなくていつも手が止まります。
Aさん
皆さん、そこで悩みますよね。「定格」欄は、製品のプロフィールを示すとても重要な部分です。ポイントは、申請する機器の「防爆構造の種類」によって書く内容が変わるということです。

📝 「定格」欄記載の4つのステップ

ステップ1:防爆構造の種類を確認する
ステップ2:防爆構造に応じた必要項目を記載する
ステップ3:同一型式がある場合は一覧表を作成する
ステップ4:記入漏れがないか最終確認する
Aさん
仕様違いの製品をまとめて申請したい場合は「同一型式一覧表」というリストを作れば一度に済みます。では、記載例を見てみましょう。

主な記載項目と例

電気的定格: 定格電圧 AC200V, 定格電流 10A
周囲温度: -20℃~+40℃
その他性能: 冷却水 水量 20L/min(水冷式の場合)

⚠️ エヌ・シー・エスでの提出方法

私たちエヌ・シー・エスでは、申請書はGoogleフォーム、添付書類は電子ファイルで提出していただくので、手続きもスムーズです。

【第2章】代表的な「防爆構造」を知ろう!

Aさん
さて、先ほど出た「防爆構造」について、代表的なものを2つ見ていきましょう。構造が違えば、申請書や図面でアピールすべき安全性のポイントも変わってきます。

ケース1:本質安全防爆構造 (i) ~エネルギーを制限して火花を発生させない!~

Bさん
「本質安全」…名前からして安全そうですが、どういう仕組みなんですか?
Aさん
これは、「万が一、回路がショートしたりして火花が出ても、エネルギーが弱すぎて爆発には至らない」ように設計された構造です。ツェナーダイオードや電流を制限する目的の部品を回路に組み込んだりします。

💡 本質安全で重要なこと

安全レベル(ia, ib, ic)と、安全の根拠となる電圧(Ui)や電流(Ii)などの「最大パラメータ値」を申請書に必ず記載してください。

ケース2:耐圧防爆構造 (d) ~頑丈な容器で、万一の爆発を封じ込める!~

Bさん
では、「耐圧防爆」はどういうものでしょうか?
Aさん
こちらは、「万が一、機器の内部で爆発が起きても、頑丈な容器(ケース)で圧力に耐え、外には火炎が漏れ出さない」ようにする構造です。鉄の金庫のようなイメージです。結構重くなりますね。

💡 耐圧防爆で重要なこと

温度等級(機器表面の最高温度, 例: T4)と、耐圧防爆接合部(火炎を冷やすための絶妙な隙間)の2つが特に重要です。耐圧防爆接合部の寸法は図面に正確に記載する必要があります。

Bさん
へぇー!ただの隙間じゃなくて、安全のための重要な隙間だったんですね。面白い!

【第3章】安全性の証明!「図面」と「事前試験」

Aさん
申請書が書けたら、次はその内容を証明するための「図面」と「あらかじめ行った試験の結果」を準備します。

📝 図面作成のコツ - 何をどこまで書けばいい?

Bさん
図面…。何に気をつければいいですか?
Aさん
大丈夫ですよ。ポイントは「防爆性能に関わる部分を、誰が見ても分かるように示す」ことです。特に防爆構造のキモとなる部分の詳細図が重要です。
寸法には許容差も書く: 「10mm ±0.1」のように記載します。
材料はJIS, ISO記号で: 正式な材料記号で記載します。
部品表を作る: 主要な部品はリスト化すると分かりやすいです。

🔬「あらかじめ行った試験」って何をするの?

Bさん
これは、私たちが自分で試験をするということですか?
Aさん
その通りです!申請する製品が「ちゃんと規格通りの安全性能を持っていますよ」ということを、申請者自身で事前に確認・証明するための試験です。耐圧防爆なら爆発試験、本質安全防爆なら火花点火試験などを行います。

⚠️ ルーチン試験も重要です

これは、工場での品質チェックのようなものです。「製造する製品すべてが安定して安全性を保っています」という証明になり、結果の提出が必要です。

【まとめ】申請成功への道すじ

Bさん
はい!これまでバラバラだった知識が繋がりました。「定格」欄の意味から、防爆構造ごとのポイント、図面や試験の重要性まで、スッキリ理解できました。これなら自信を持って準備を進められそうです。
Aさん
それは良かったです!防爆検定は、安全な製品を世に送り出すための大切なプロセスです。このQ&Aが、Bさんのような申請者の方にとって、スムーズな手続きの一助となれば嬉しいです。

📌 申請成功への最終チェックリスト

  1. 防爆構造の種類を正確に把握したか?
  2. 「定格」欄は構造に応じた必要項目を漏れなく記載したか?
  3. 事前試験(設計・製造)で安全性を確認し、記録したか?
  4. 図面は防爆性能に関する部分を詳細に描いたか?
  5. 不明な点は、私たちNCSのような検定機関に相談する準備はOKか?
Aさん
もし準備の過程で分からないことがあれば、いつでも私たちエヌ・シー・エスにご相談ください。一緒に安全な社会の実現に貢献していきましょう!