エヌ・シー・エス株式会社のホームページへ 2024.08.03
爆発とは、急激なエネルギー放出によって、周囲の気体の急激な膨張がおこり、強い衝撃波が生み出される現象をいいます。急激な現象であることが破壊的な現象を引き起こします。
似たような現象として、燃焼がありますが、爆発の方が、圧倒的に速度が速く起こる現象です。化学反応が連鎖的に起こり、つまり、指数関数的に起こる現象です。核爆発でも、「連鎖反応」というのを聞いたことがあると思いますが、反応の素過程が化学反応であるのが、化学爆発であり、核反応であるものが、核爆発です。核分裂によってエネルギーが解放される素過程と核融合によってエネルギーが解放される素過程があります。
水素の爆発としては、化学爆発と核爆発という二つのタイプが挙げられます。
これらはそれぞれ全く異なるプロセスによって起こります。
水素の化学爆発: これは水素と酸素が化学反応し、水を生成する際に起こります。この反応が急速に進行すると爆発を引き起こします。このタイプの水素爆発は、化学反応によってエネルギーが解放されるので、素過程で解放されるエネルギースケールは1 eVのオーダーです。
水素の核爆発: 重水素の原子核と3重水素の原子核が核融合反応して結合し、ヘリウム原子核となる際に起こります。この反応が連鎖的に起こると大量のエネルギーが放出され爆発を起こします。このタイプの水素爆発は、核反応によってエネルギーが解放されるので、素過程で解放されるエネルギースケールは、$10^{6}(=1,000,000)$ eVのオーダーです。
実は、太陽の中心では水素やヘリウムなどの軽い原子核同士の衝突による核融合反応が起こっていて、水素の核爆発と同じような現象が起こっており、膨大な核エネルギーが解放されています。地球と太陽の距離は1億5000万kmほどありますが、それだけ離れていても夏の暑さをもたらすほどのエネルギーが届いています。
核エネルギーの解放では、化学エネルギーと比べて、文字通り、桁違いの大きなエネルギーが放出される現象なのです。私たち動物、植物が生きていられるのも核エネルギーのおかげなのです。もし化学反応しかなかったならば、温かい太陽を拝むこともできず、そもそも、私たちも存在していないでしょう。
私たちの身の回りで起こりえる爆発現象は、化学爆発のみです。
※爆発なんて、身近ではありませんが(笑)。
「お湯を沸かして発電する」
余談ですが、原子力発電と聞くと、最新テクノロジーのイメージを持ちますが、実際には、原子力を使ってお湯を沸かし、その時発生する蒸気を使ってタービンを回して電力に変換するという古典的な発電方法で、火力発電と原理は同じです。
空気中の水素の化学反応の爆発限界は $4.0\sim 75$ vol%です。これは他の可燃性ガスに比べてきわめて広いのです。ちなみに、プロパンの爆発範囲は$2.1\sim9.5$ vol%です。
このようなガス・蒸気の性質は、ISO/IEC 80079-20-1:2017 「ガスと蒸気の分類のための材料特性評価試験方法およびデータ」などに記載されているので参考になります。
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